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医療法人の「役員報酬」はどう決める?
第6回 医療法人向けブログ
医療法人の「役員報酬」はどう決める?
変更するタイミングと税務上のルールを税理士が解説
池田税理士事務所 税理士 村上 | 医療法人専門コラム
こんにちは、税理士の村上です。
第5回ではMS法人の活用術をお伝えしました。今回は、医療法人の経営における重要テーマのひとつ、「役員報酬の決め方・変更ルール」について解説します。
役員報酬は、院長先生の手取りに直結するだけでなく、法人税・所得税・社会保険料のすべてに影響する重要な設計項目です。ルールを正しく理解せずに設定・変更すると、思わぬ税負担につながることがあります。
役員報酬とは何か?
役員報酬とは、医療法人の理事長・理事・監事などの役員に対して支払われる報酬のことです。一般の従業員への給与と異なり、役員報酬は法人税法上の損金算入に厳格なルールが設けられています。
ルールに沿った支給でなければ、支払った役員報酬が法人の経費として認められず、法人税が増加することになります。以下、主なルールを確認しましょう。
損金に算入できる役員報酬の種類
① 定期同額給与
最も一般的な役員報酬の形です。毎月同額を支給することが要件であり、これを満たす場合に損金として認められます。
金額の変更は原則として事業年度開始から3ヶ月以内に行う必要があります(定時改定)。この期間外に増額・減額した場合、変更前後の差額部分は損金不算入となります。
注意
年度途中で「利益が出たから報酬を増やそう」「資金繰りが厳しいから一時的に減らそう」といった変更は、原則として損金不算入となります。ただし、業績悪化を理由とした減額(業績悪化改定事由)など、一定の例外も認められています。
② 事前確定届出給与
支給する金額・時期を事前に税務署へ届け出ることで、損金算入が認められます。届出どおりに支給しなかった場合(金額・時期のずれを含む)は、全額が損金不算入となります。
注意
届出と異なる金額・日付での支給は全額否認されます。支給日・金額は届出内容と必ず一致させてください。
③ 業績連動給与
利益等の指標に連動して支給する役員報酬です。同族会社(多くの医療法人が該当)では原則として損金算入が認められません。医療法人の役員報酬は、実務上①定期同額給与・②事前確定届出給与を中心に設計することになります。
役員報酬の金額はどう決めるか?
役員報酬の金額設定は、以下の3つのバランスを考慮して決定します。
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考慮すべき観点 |
内容 |
ポイント |
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法人税の最小化 |
役員報酬を高くするほど法人の利益が減り、法人税が下がる |
高すぎると所得税・社保が増加 |
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所得税・社保の最小化 |
役員報酬が高いほど、個人の所得税・社会保険料が増加する |
低すぎると法人税が増加 |
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過大役員報酬の回避 |
不相当に高額な役員報酬は損金不算入とされるリスクがある |
同規模・同業種の相場が目安 |
役員報酬の最適額は、法人の利益・院長先生の生活費・法人内への資金留保の必要性などを総合的に勘案して決定します。一般的には、法人税率と個人の所得税・社会保険料率が拮抗する水準を目安にシミュレーションを行います。
注意
「過大役員報酬」と判断された場合、超過部分は損金不算入となります。同規模・同業種の医療法人の役員報酬水準や、その法人の収益規模・役員の職務内容を踏まえた合理的な金額設定が必要です。
役員報酬を変更できるタイミング
原則:事業年度開始から3ヶ月以内(定時改定)
定期同額給与の変更は、事業年度が始まってから3ヶ月以内に行うことが原則です(定時改定)。たとえば4月決算の法人であれば、5月〜7月中に変更する必要があります。この期間に改定した場合、変更後の金額が新たな「定期同額」として認められます。
例外①:業績悪化改定事由による減額
経営状況が著しく悪化し、第三者(金融機関・株主等)との関係上やむを得ない事情がある場合には、期中であっても役員報酬の減額が認められます。単なる資金繰りの都合や利益調整目的の減額は該当しません。
例外②:役職・職務内容の重大な変更
理事長の交代・新たな役員の就任など、職務内容に重大な変更があった場合も期中改定が認められます。ただし、恣意的な変更と判断されないよう、変更の合理的な理由を明確にしておくことが重要です。
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変更の種類 |
損金算入の可否 |
主な要件 |
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定時改定(期首3ヶ月以内) |
可 |
事業年度開始から3ヶ月以内の改定 |
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業績悪化による減額 |
可(減額部分) |
著しい業績悪化・第三者との関係上やむを得ない事情 |
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職務変更に伴う改定 |
可 |
理事長交代等、職務内容の重大な変更 |
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上記以外の期中増額 |
不可(増加分) |
利益調整目的とみなされるリスクあり |
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上記以外の期中減額 |
不可(減少分) |
資金繰り目的の減額は認められない |
役員報酬を決定・変更する際の手続き
役員報酬の決定・変更には、適切な手続きを経ることが重要です。手続きの不備は、税務上のリスクだけでなく法人運営上の問題にもつながります。
◆ 社員総会・理事会の決議 → 役員報酬の総額枠は社員総会で、個人別の配分は理事会で決議するのが一般的です
◆ 議事録の作成・保管 → 決議内容を議事録に残し、適切に保管しておくことが必要です
◆ 事前確定届出給与の届出 → 賞与を支給する場合は、支給日の前日(または決議日から1ヶ月以内の早い方)までに税務署へ届け出ます
◆ 毎月同額の支給を継続する → 定期同額給与は支給実績も含め、毎月同日・同額であることの確認が必要です
まとめ
役員報酬の設計・変更は、法人税・所得税・社会保険料のすべてに関わる重要な経営判断です。以下の点を押さえておきましょう。
◆ 変更は事業年度開始から3ヶ月以内が原則 → 毎期の決算後、早めに次期の報酬額を検討・決議する
◆ 期中の変更は原則として損金不算入 → 例外事由(業績悪化・職務変更)に該当するか慎重に判断する
◆ 過大役員報酬に注意 → 同規模・同業種の相場と自院の収益規模を踏まえた合理的な金額を設定する
◆ 手続き(決議・議事録・届出)をしっかり整備する → 書類が整っていないと税務上のリスクが高まります
ポイント
役員報酬の最適額は、法人の利益状況・院長先生のライフプラン・法人内への内部留保計画によって毎期変わります。決算の際に必ず税理士と一緒にシミュレーションを行いましょう。
次回(第7回)は、「医療法人にお金を残しすぎるのは危険?内部留保のメリットと知っておくべきリスク」をお届けします。
次回:第7回「医療法人にお金を残しすぎるのは危険?内部留保のメリットと知っておくべきリスク」
セミナー講師のご依頼をいただきました。
経営戦略勉強会
従業員のこと
「もっと給料を上げてあげたい」
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そう思いながら、歯を食いしばっている社長は多いです。
「やりたくない」んじゃない。
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でも、その葛藤はなかなか伝わらないですよね。
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1日でも早く「やってあげられる会社」にしていきましょう。
職業病
税理士をやっているからなのか、
ちょっと変わった職業病がある。
それは
「何で稼いでいるかわからない人は信用しない」
ということ。
皆さんの周りにいませんか?
めちゃくちゃ愛想がよくて、
利益度外視でお手伝いしてくれて、
羽振りが良くて、
いろんな知り合いが多い人。
ロクなことにならないことが多いイメージ。
ただの経験則だし、偏見もあるんだろうけど、
「私はこれでお金を稼いでいます!」
と胸を張って言える人じゃないと信用できない。
そういう人にじゃないとお金は払えないし、一緒に仕事はできない。
でもたまに、
他の人が喜んでくれればいい、
僕は儲からなくてもいい、
とか言いながら寄ってきて、
あれこれいろいろやってくれて、
本当に儲かってないだたのいい人もいるから困るよね。


