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偶然の売上には意味がない。(1/3)
「今月は売上が上がって良かった!」 毎月の数字を見ながら、一喜一憂していませんか?
どれだけ大きな売上であっても、それが「たまたま」上がったものなら、経営においてはあまり意味がありません。
ビジネスで一番大切なのは「再現性」だからです。
例えば、駅前の定食屋。
集客の理由が「たまたまお腹を空かせた人が通りかかったから」だとしたら、完全な運頼みですよね。
この状態で「来月は売上を1割増やそう!」としたら、店主のやるべき行動は「お店の前をお腹を空かせて歩く人を、無理やり1割増やす」になります。
……そんなのコントロールできるわけがありません。
でも、これと同じ「神頼みの経営」を、多くの中小企業がやってしまっているんです。
次回、この霧を抜けて「狙って数字を作る」ための第一歩をお話しします。
続く。
SWOT分析には意味がない?(2/3)
車の運転席のダッシュボードが正しく動くのは、裏側で車体の状況を検知する「センサー」が動いているからです。
データ分析を省いたままSWOTのシートを埋めるのは、センサーなしでメーターの針を自分の勘で書き込むようなもの。
プロは、あのシートを埋める手前で、大量のフレームワーク(3C、4P、5Forces、PEST、VRIOなど)のセンサーを動かして客観的な事実を集めています。
もちろん、誰に・何を・どう届けるかを可視化する「ビジネスモデルキャンバス(BMC)」もその一つ。
(正直、私はこのBMCに関しては、税理士の中では日本一使い込んできたという控えめな自信があります。)
こうしてロジカルに事実を紐解いて初めて、SWOTのシートが「うちはここで戦えばいいんだな」という生きたデータで埋まるのです。
データが集まったら、次はいよいよ戦略への落とし込み。
最終回、明日からの行動をガラリと変える「本当の経営」の始め方です。
続く・・・
SWOT分析は意味がない?(1/3)
経営分析の王道、SWOT分析。
補助金の申請などでもよく使われますよね。
「よし、うちも真面目に分析してみよう!」とシートを広げ、「強み・弱み・機会・脅威」を一生懸命書き込んでみたけれど、実際の経営には全く活かせなかった……。
そんな経験、ありませんか?
実は、SWOT分析って、いきなり単体でやっても絶対に意味のあるものは作れないんです。
なぜならSWOTは、最初から自分で埋めるものではなく、すべての客観的データを最後に集約するだけの「ただのダッシュボード」だから。
業者に丸投げして書いてもらったシートなんて、なんの根拠もないただの思い込みです。
会社を間違った方向に迷子にさせる原因にしかなりません。
じゃあ、プロはどうやってあのシートを埋めているのか?
次回、ダッシュボードの裏側にある「センサー」の正体をお話しします。
続く・・・
がんばる場所を間違えていませんか?
「もっと売上を上げたいから、広告費を増やして集客しよう!」
「現場が忙しそうだから、まずは人を採用してキャパを広げなきゃ」
売上を伸ばしようとするとき、多くの経営者があれもこれもと同時に手を付けようとしたり、
あるいは「一番目立つ問題」にいきなり大金を投資したりしがちです。
でも、経営の現場をたくさん見てきた僕たちからすると、その努力や投資の9割は、
がんばる場所を間違えている「空回り」になっていることがほとんどです。
ビジネスの拡大(スケール)において、何よりも大切なのは
「今、どこが本当のボトルネック(最大のブレーキ)なのか」を正確に見極めることです。
今回は、あなたの会社の本当の課題が一瞬で浮き彫りになる、頭の中の「多段砂時計」というロジックをご紹介します。
今回はそんなお話。
皆さんは、砂時計をイメージできますか?
普通の砂時計は、真ん中の「くびれ」が1つだけですよね。
でも、僕が経営を分析するときは、真ん主に細長く「何重ものくびれ」がついた、特殊な多段砂時計をイメージしています。
このくびれの一つ一つが、あなたの会社が一連の業務を行う上で必要な「リソース(要素)」です。
製造業を例に上から順番に並べてみましょう。
【市場のパイ】 そもそも世の中に買ってくれる人がどれだけいるか
【集客・営業力】 その中で、自社がどれだけのお客さんを集め、成約できるか
【製造・スタッフのキャパ】 商品を作ったり、サービスを提供したりする人員や機械の限界
【配送・インフラ】 出来上がったものを届けるトラックやスペースの限界
【銀行の信用(調達力)】 次の天井を突破するために、銀行から融資を引っ張ってこれる限界
ビジネスを拡大するというのは、この砂時計をじっと眺め、
それぞれのくびれの限界値をすべて「売上高」という同じ通貨(数字)に変換して考えてみることから始まります。
分かりやすく、製造業の会社をイメージしてみると
この会社の各リソースの限界値を、売上高に換算したものを以下のように設定しました。
【市場のパイ】の限界値 = 売上換算で1,000億円(まだまだ市場は広い)
【工場の機械】の限界値 = 売上換算で30億円(10億円分の機械が3台ある)
【配送トラック】の限界値 = 売上換算で20億円(今ある台数ではこれが限界)
【集客・営業】の限界値 = 売上換算で10億円(今の集客力だとこれが限界)
【銀行の信用】の限界値 = 売上換算で50億円(財務が綺麗なのでこれくらい借りられる)
さあ、数字がバラバラに並びました。
では質問です。この会社の「現在の実際の売上高」は、一体いくらになるでしょうか?
答えは、10億円です。
絶対に、それ以上にはなりません。
なぜなら、この会社の多段砂時計の中で、「一番細くくびれている場所」が【集客・営業の10億円】だからです。
いくら工場に30億円分のキャパがあり、銀行から50億円引っ張れる信用があろうとも、
一番細い「集客」の場所で砂が詰まるため、会社全体の売上は絶対に10億円でピタッと止まります。
外のリソースがどれだけ高かろうが関係ありません。
そして、現在のあなたの会社の試算表に書いてある売上高は、この砂時計の「一番細いくびれの数字」と100%一致しているんです。
これが分かると、冒頭でお話しした「がんばる場所の間違い(空回り)」の正体が、残酷なまでに浮き彫りになります。
もしこの状態の社長が、「現場の工場がいつも忙しそうだから、今のうちに10億円投資して新しい機械をもう1台増やしよう!」と決断したらどうなるでしょうか?
工場のキャパは30億から40億に増えます。でも、一番細いくびれは「集客の10億」のままです。
つまり、10億円の大金を投資したのに、売上は1円も上がらないという最悪の投資ミスが起こります。
ただ無駄な固定費が増え、会社の資金繰りを圧迫するだけです。
逆に、この社長が「よし、集客のくびれが一番細いから、ここにテコ入れして集客力を25億円まで広げよう!」と正しくがんばったとします。
するとどうなるか。
今度は、次に細かったくびれである【配送トラックの20億円】の場所で砂が詰まるようになります。
売上は10億から20億までは一気に伸びますが、今度は20億の天井にぶつかって止まります。
そしたら次は、トラックを増やすために「次の設備投資を引っ張ってくる『銀行の信用(調達力)』というリソース」を解放しにいく。
30億に達して工場の限界が見えるなら、その瞬間に10億円融資してもらえるピカピカの決算書を、今から逆算して作っておく。
経営とは、この多段砂時計をじっと見つめながら、
「今、一番細くなっているくびれを特定し、そこをピンポイントで広げ、次のくびれへと先回りしていくゲーム」なんです。
闇雲に全部をがんばる必要なんてありません。
だからこそ、僕たち税理士が毎月の試算表を見るときは、ただ「今月は売上が上がって良かったですね」と言い合うだけではありません。
社長の会社の砂時計を一緒に眺めながら、
「社長、今の数字を見ると、工場のキャパは余っていますが、完全に集客のくびれで砂が詰まっています。今は機械の買い替え時ではありません」
あるいは、
「集客が伸びて20億の大台が見えてきました。次は配送と、それを支える融資(銀行の信用)が次のくびれになります。今から銀行への見せ方を仕込みましょう」
そうやって、次に詰まる場所を予測し、全体の「管理コンソール」を社長の手元に手渡すために、毎月の数字を紐解いています。
「毎日必死に頑張って、投資もしているのに、なぜか売上が頭打ちになっている……」
「次の一手として、人を増やすべきか、設備を入れるべきか迷っている」
もしそんな悩みの中にいるのなら、一人で悩んでズレた場所に投資してしまう前に、
まずは僕の前で、あなたの会社の「認知から納品までの一連の流れ」を教えてください。
あなたの会社の多段砂時計を綺麗に可視化して、明日からどこをピンポイントで動かせば売上が劇的に変わるのか、
その確かな答えを一番近くで、最高にロジカルに一緒に見つけにいきましょう。
Growth(成長の)Side(隣に)。
あなたの努力が、無駄にならずに最大の成果へと繋がるように、僕はこれからも一番近くで、一緒に考えます。
「仕事が順調」がまさかの危険信号!?
独立して、最初は順調に仕事が回っていたのに、ある時期を境にピタッと成長が止まってしまう。
それどころか、急に資金繰りが苦しくなって先行きが見えなくなってしまう……。
実は、多くの中小企業がぶつかるこの現象には、ある共通した「原因」があります。
それは、仕事が順調なときに、経営者が知らず知らずのうちに「動物園のライオン状態」になってしまっていることです。
今回はそんなお話。
たとえば、建築業界などでよくある、こんなケースを想像してみてください。
若い頃から腕が良く、持ち前の人柄もあって、先輩の独立を機に「お前に仕事を回してやるから、後輩たちを連れて一本立ちしろよ」
と背中を押されて独立した一人の職人社長がいます。
独立して3年間は、驚くほど順調。
先輩の会社から途切れることなく現場が回ってくるため、自分で営業なんてしなくても十分に食っていけたのです。
月収は会社員の頃の倍になり、銀行からの借入もできて新しいトラックや機材も買えました。
社長は「経営なんて、現場をきっちり回していれば勝手についてくるもんだ」と確信し、
自分が「百獣の王」にでもなったような全能感すら抱くようになります。
ところが4年目、突然の転機が訪れます。
元請けの体制が変わり、その先輩の会社からの発注が半分に激減してしまったのです。
慌てて、社長は片っ端から知り合いに電話をかけ、飛び込み営業らしきこともやってみましたが、うまいこと仕事が取れません。
どこも自前の職人で手一杯か、手間ばかりかかって利益が出ない安月給の現場しか提示してくれない。
気がつけば、通帳の残高は毎月の給料と外注費の支払いで、みるみるうちに減っていきます。
「腕もいい、身体も動く。なのに、なんでこんなに仕事が取れないんだ……?」
夜の事務所で一人頭を抱えて初めて、社長は気づくのです。
仕事が順調だったあの3年間は、経営者として成長していたわけではなかった。
用意してもらった「動物園の檻」の中で、毎日降ってくる肉(仕事)をもらいながら、
自分で獲物を狩る能力を、じわじわと失い続けていただけだったんだ、と。
ビジネスにおいて、商品やサービスが売れるまでには「認知してもらい、他社と比較された上で、選ばれる」という、
一番面倒で泥臭い努力のプロセスが絶対に必要です。
以前、経営の本質は「因数分解」であり、ビジネスの本質は「誰かの代わりに面倒くさい苦労を一手に引き受けること」だとお話ししました。
このケースで言えば、ビジネスで一番大変な「集客の仕組み(=野生の狩り)」を、すべて元請けという「檻」に代行してもらっていたわけです。
檻の中にいれば、自分で動かなくても仕事が降ってきます。
だから安全だし、自分は腕がいいから選ばれているんだと錯覚してしまう。
ですが、腕(技術)が良いのは、市場全体から見れば、選ばれるための「決定打」ではなく、あって当たり前の「前提条件」にすぎません。
看板を失ってサバンナ(剥き出しの市場)に放り出された瞬間、自力でお客さんを開拓する武器が何一つ手元にないことに気づいても、もう手遅れになってしまうのです。
そして、この「動物園のライオン状態」が本当に恐ろしい牙をむくのは、
会社が好調なまま、次の世代(2代目)に代替わりをするとき
です。
先代の社長が作った「檻(これまでの強力な取引先やルート)」が頑丈であればあるほど、
2代目の若いライオンたちは、生まれたときから毎日決まった時間に肉が降ってくるのが当たり前の環境で育ちます。
自分で獲物を探したことも、命がけで仕留めたこともない。
つまり、「一度も自力で狩り(新規集客)をしたことがない世代」です。
実は、事業承継の現場で「先代社長と後継者の親子がめちゃくちゃモメる原因」も、まさにここにあります。
先代社長からすれば、
「今まで俺がこの檻を必死に守ってきたから、毎日エサ(売上)が来るんだ。わざわざリスクを冒して外へ出ていく必要なんてない。余計なコストをかけるな!」
というのが、会社のことを想うがゆえの正論です。
でも、これから未来を生きる後継者からすれば、
「今はよくても、もしこの檻の扉が壊れたら、僕たちは全員サバンナで飢え死にする。
今のうちに、お金と時間をかけてでも自力で狩りをする練習(新規事業やマーケティングへの投資)をさせてくれ!」
という、生き残りをかけた必死の叫びなんですよね。
お互いに会社を良くしたいという想いは同じなのに、見ている時間軸と危機感がまったく違う。
「待っていればエサが来るから動くな」という先代と、
「このままサバンナに放り出されたらヤバい」と思っている後継者。
この構造のズレに気づけなければ、揉めないほうがどうかしているんです。
先代の引退や時代の変化によって、ある日突然檻の扉が壊れてしまった瞬間、狩りのやり方を知らない若いライオンたちだけで荒野に放り出される。
これこそが、儲かっていたはずの2代目の会社が、代替わりして数年で一瞬にして跡形もなく潰れてしまう本当の正体です。
だからこそ、僕たち税理士が「事業承継」をお手伝いするときは、
単に自社の株価を引き下げて税金を安くする、といった表面的な手続きだけで終わらせることは絶対にしません。
大切なのは、先代がこれまで感覚と馬力で守ってきた「泥臭い狩りの技術」をきれいに紐解き、
「2代目の社長が、自分の足で市場を開拓してキャッシュを残せる無敵の仕組み」として、親子が納得する形でバトンを渡してあげることです。
だからこそ、僕たちのところへ事業承継を控えた後継者の方が相談に来られた際は、
ビジネスモデルキャンバスなどのフレームワークを使って、
会社の設計図を理解するところから始めます。
その設計図と、今の試算表を照らし合わせて、今後の方針を決めていくわけです。
会社の設計図と、数字という客観的なデータ(ファクト)を親子の共通言語にすることで、
先代の「センスと経験」をロジカルな経営戦略へと変換し、
2代目が自らの力で新しい取引先を開拓できるまでの「野生の牙」を、引き継ぎの期間中に一緒に磨き上げていくのです。
「最近、紹介の手が少しずつ減ってきて、先々の売上が不安だな……」
「偉大な先代の跡を継ぐことになったけれど、正直、何から手をつければいいか分からなくて不安だ」
そんな、言葉にできない次世代へのバトンパスのプレッシャーや、親子間のすれ違いを抱えているなら、
その大きな塊を一人で背負い込まずに、僕の前でそのまま吐き出してください。
先代が命がけで守ってきたその「高い価値」を、
次の世代がサバンナで生き抜くための「最高の仕組み」へと、
僕たちが一番近くで丁寧に組み立てていきます。
Growth(成長の)Side(隣に)。
あなたのこれまでの泥臭い努力を次の世代の確かな未来に変えるために、僕はこれからも一番近くで、大切に守り続けます。
